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放課後遊戯(金魚の呪バージョン)(R18)

prologue 河原に行こうとかっちゃんが言った。 靴を脱いで躊躇なく川に入ってゆくかっちゃんに、自分も仲間たちも、たもを持ってついて行った。 水位は深いところでも膝までしかない浅瀬。水に浸した足がひんやりとして気持ち良かった。 かっちゃんはひょい…

インフォメーション2022年1月~

最新情報です。下に行くほど新しいニュースです。母艦サイトのINFOや自作創作小説カテゴリー に内容紹介文を詳しく載せてます。 母艦サイトへのリンク→BLUE HUMAN 2022/01/27 勝デク小説「放課後遊戯(R18版)」「放課後遊戯(全年齢版)」をUPしました。 20…

放課後遊戯(全年齢版)

Chapter・1 始めてキスをしたのは13歳の夏休み明け。その日の放課後は、くすんだ水色の空に、水母のように透けた半月がぽうっと浮かんでいた。 誰かに呼び止められた気がして、出久は足を止めた。よく知っている声だった。心を揺さぶられる声だった。校庭を…

放課後遊戯(R18版)

Chapter・1 始めてキスをしたのは13歳の夏休み明け。その日の放課後は、くすんだ水色の空に、水母のように透けた半月がぽうっと浮かんでいた。 誰かに呼び止められた気がして、出久は足を止めた。よく知っている声だった。心を揺さぶられる声だった。校庭を…

ソーダ色の思い出(「放課後遊戯」から)

「勝己、いずくくんが来たよ!」 玄関に出たのはかっちゃんのお母さんだ。雰囲気がよく似てる。でもそう言うとかっちゃんはすごく怒る。 「おお、上がれや。デク」 リビングに繋がるドアの向こうから、声だけ飛んできた。かっちゃんのお母さんに続いて部屋に…

2度ならコイだぜ

「すっげえ見晴らしいいな!」 「おい、乗り出すなバカ」 闇に手を伸ばすユイトの腕を、シデンは乱暴に引っぱる。 「窓に硝子はないんだ。力をかけると真っ逆さまだぞ」 「あ、ああ、っぶね。わりい、シデン」 「言ったはずだぞ、間抜け」 「うう、そこまで…

インフォメーション2021年4月~

最新情報です。下に行くほど新しいニュースです。母艦サイトのINFOや自作創作小説カテゴリー に内容紹介文を詳しく載せてます。 母艦サイトへのリンク→BLUE HUMAN 2021/04/26 勝デク小説「輝くもの天より墜ち(R18版)」「輝くもの天より墜ち(全年齢版)」U…

輝くもの天より墜ち(全年齢版)

prologue 「てめえ!ざけんなよ!」勝己は吼えた。足元から振動が響いてくる。崩れかけて瓦礫が散乱するビルの最上階。衝撃による振動で、天井がいつ崩落してもおかしくない。砂塵が舞い散る部屋の中に天井に開いた穴から光が差し込み、緑色のパーカーと特徴…

輝くもの天より墜ち(R18版)

prologue 「てめえ!ざけんなよ!」勝己は吼えた。足元から振動が響いてくる。崩れかけて瓦礫が散乱するビルの最上階。衝撃による振動で、天井がいつ崩落してもおかしくない。砂塵が舞い散る部屋の中に天井に開いた穴から光が差し込み、緑色のパーカーと特徴…

銀の獣の森

彼は天を仰いだ。 青い空はまるで見えず深い深い緑の天井が覆う。巨木に囲まれたこの森の中を、もう何日彷徨っただろう。 【未開の島未開の森、未知の生物を採取しよう】 眉唾ものだと思いつつも魅力的な見出しに釣られ、孤島探検ツアーに参加した。船は巨大…

インフォメーション2020年4月~

最新情報です。下に行くほど新しいニュースです。母艦サイトのINFOや自作創作小説カテゴリー に内容紹介文を詳しく載せてます。 母艦サイトへのリンク→BLUE HUMAN 2020/04/19 勝デク小説「フラワー・インフェルノ(魔法の言葉 ・前日譚)」をUPしました。 2020…

「フラワー・インフェルノ(魔法の言葉 ・前日譚)」

もはや見えぬ光よかつて私のものだった光よもう一度私を照らしてくれ……やっとたどり着いた人生は始まったところで終わるのだ ピエル・パオロ・パゾリーニ 「アポロンの地獄」より 壁面時計の長針と短針がカチリと重なる。 時は正午、12時ジャストだ。 晴れた…

物の怪の家

叔父が「樹病」に罹患し、入院したと、下の兄から連絡があった。 上の兄も飛行機の便をとって、今日中に駆けつけるという。乾は急いで一泊分の着替えを旅行鞄にまとめ、伴侶に連絡をして、特急電車に乗った。 同じ県内にある実家とはいえ、複数の市を跨いで…

白い庭白い猫

縁側に出て、白い玉砂利が敷き詰められた庭を見渡した。 大きくて旧い日本家屋だ。元は寺社奉行の屋敷だったという。今は鬼灯や椿などの庭木が植えられているが、元はこの庭は白州だったのだろう。 玉砂利に罪人が縛られて座し、広い縁側には奉行が座り、裁…

魔法の言葉(全年齢版)

prologue Dreams あれは出久だ 中学生の時の冴えない出久だ おどおどして卑屈で、なのに反抗的で身の程知らずな幼馴染 手を伸ばして、細い腕をつかむ。出久は振り返る。目を見開き驚きの表情を浮かべて。 デク、デク。 俺は声をかける。俺は何を言うつもりだ…

魔法の言葉(R18版)

prologue Dreams あれは出久だ 中学生の時の冴えない出久だ おどおどして卑屈で、なのに反抗的で身の程知らずな幼馴染 手を伸ばして、細い腕をつかむ。出久は振り返る。目を見開き驚きの表情を浮かべて。 デク、デク。 俺は声をかける。俺は何を言うつもりだ…

デート(全年齢版)

爆殺王:おい、クソデクには付き合ってる奴はいねえんだな 切島:今んとこあいつに彼女いるとかいう話は聞いたことねえよ 爆殺王:は!だろうよ! 切島:で、お前はどうなんだよ 爆殺王:ああ?クソデクにいねえのに、んな浮ついたことしてられっかよ 切島:それっ…

デート(R18版)

爆殺王:おい、クソデクには付き合ってる奴はいねえんだな 切島:今んとこあいつに彼女いるとかいう話は聞いたことねえよ 爆殺王:は!だろうよ! 切島:で、お前はどうなんだよ 爆殺王:ああ?クソデクにいねえのに、んな浮ついたことしてられっかよ 切島:それっ…

インフォメーション2019年3月~

最新情報です。下に行くほど新しいニュースです。母艦サイトのINFOや自作創作小説カテゴリー に内容紹介文を詳しく載せてます。母艦サイトへのリンク→BLUE HUMANhttps://hiten-alice.hatenadiary.jp/ 2019/03/23 勝デク小説「清書森の竜騎士と勇者の卵【十傑…

清書森の竜騎士と勇者の卵【十傑パロ】(全年齢用)

序章 光り射す林の中を少年は駆ける。 胸を高鳴らせ、息を弾ませて。 彼はもう来てるだろうか。 少年は期待に胸を膨らませる。 木陰を抜けた先に見えるのは高原。空の青と地の緑に二分割され、鮮やかに目映く開ける。広がる草原は一面に腰の高さほどの草に覆…

清書森の竜騎士と勇者の卵【十傑パロ】(R18版)

序章 光り射す林の中を少年は駆ける。 胸を高鳴らせ、息を弾ませて。 彼はもう来てるだろうか。 少年は期待に胸を膨らませる。 木陰を抜けた先に見えるのは高原。空の青と地の緑に二分割され、鮮やかに目映く開ける。広がる草原は一面に腰の高さほどの草に覆…

橙色の思い出(「たったひとつの冴えたやりかた」から)

「疲れたよ、かっちゃん」 ふうふうと息を弾ませて、僕は前を歩くかっちゃんに呼びかける。 裏山を流れる川の上流に遡って、随分と歩いてきた気がする。 鶺鴒だろうか。川面をついっと滑るように飛んでいる。 セキレイ。イザナミとイザナギが、尾を振るの見…

インデックス(オリジナル)

BLではないオリジナル小説です。題名から各作品にリンクしてます。各小説の簡単な内容紹介はこちらでどうぞ。 カテゴリーでは下から古い順に並んでいます。挿絵と冒頭文章が確認できます。そちらからでも各作品にリンクしています。どちらからでもどうぞ。 ★…

かたなしなるもの

白砂が裸足の指の間から溢れる。 ひと足踏むごとに、サクサクと鳴る砂が心地いい。 振り返れば、浜辺の小屋が小さく見える。海岸線に沿って、随分遠くまで歩いてきたらしい。 少年は砂を両手に掬った。粒がキラキラと光りながら、風に乗って散らばる。この辺…

たったひとつの冴えたやりかた(全年齢版)

1・かの日の怪物 久方ぶりの自宅への帰り道のことだった。 出久は膝に抱えていたリュックを担ぐと、電車を降りた。 黄昏の空に烏の鳴き声が遠く響く。家々のシルエットを、夕焼けが橙色に縁取っている。落陽は出久のすぐ前を歩く、幼馴染の小麦色の髪も、紅…

たったひとつの冴えたやりかた(R18版)

1・かの日の怪物 久方ぶりの自宅への帰り道のことだった。 出久は膝に抱えていたリュックを担ぐと、電車を降りた。 黄昏の空に烏の鳴き声が遠く響く。家々のシルエットを、夕焼けが橙色に縁取っている。落陽は出久のすぐ前を歩く、幼馴染の小麦色の髪も、紅…

習作・人形遊戯(R18)

勝己は車の後部座席のドアを開け、抱えていたズシリと重い人形を座席に積んだ。 グズグズしちゃいられない。急がなければ。運転席に移動してエンジンをかける。 雪の結晶がちらほらと目の前を舞った。 クソが、もう追いついて来やがった。 廃ビルの窓を破壊…

パラサイト・フェスタ(全年齢版)

序章 「かっちゃん、あれ何だろ」 幼い頃、ふたりで林の中に遊びに行った時だ。後ろを歩いていた出久が言った。 ふらふら余所見をしているから、ついてくるのが遅れて、待ってよかっちゃん、と追いかけてくるのが常だった。この日は2人だけだから、歩くペー…

パラサイト・フェスタ(R18版)

序章 「かっちゃん、あれ何だろ」 幼い頃、ふたりで林の中に遊びに行った時だ。後ろを歩いていた出久が言った。 ふらふら余所見をしているから、ついてくるのが遅れて、待ってよかっちゃん、と追いかけてくるのが常だった。この日は2人だけだから、歩くペー…

胡蝶の通い路・後編(全年齢版)

後篇 4 勝己は扉のノブに手をかけてはたと止まった。 密やかな声に耳を澄ます。出久の声だ。 眠っている自分にこっそり語りかけている。くしゃくしゃだとかトゲトゲだとか。聞いたことのないような優しい口調で。部屋に入れば何かを壊してしまいそうだ。掌…