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続・優しい時間(R18)

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 繁華街からひとつ角を曲がると街は影を纏うようだ。
 喧騒から遠ざかり曲がりくねった狭い坂道を登った。街灯が疎らになり、別の世界であるかのように闇が濃くなる。
 魔物が潜んでいるようだ、と思う。後ろをついてくる戸惑う足取り。勝己は振り返り、足音の主の腕をぐいっと掴んで引き寄せた。探るように指を絡める。掌から甲にかけて皮膚を横断する盛り上がった傷跡の感触。確かに出久のものだ。繋いだ手を握りしめて逃げないように力を込める。
「あの、かっちゃん?どこ行くの?もう電車に乗らないと帰れないよ」おずおずと出久が言う。
「はあ?ここからじゃもう間に合わねえだろうが!」
 帰してたまるものか。わざと電車に間に合わない時間まで連れ回したのだから。初めからこのホテル街に連れ込むつもりだったのだ。健全な夜の遊び場の散策で終わるはずないだろうが。繁華街は一皮むけば夜を営む建物が並び立つ魔窟なのだから。
「ここにするか」
 シンプルな装飾のホテルを選んでエントランスに入った。
「でも、でも、僕ら未成年だよ。無理だよ。入れてくれないよ」となおも臆する出久に「店員に対面しねえで入れるとこもあんだよ」と苛々しながら返す。そんなことは既に調査済みだ。
 タッチパネルから適当な部屋を選ぶ。大体ラブホテルに来ることになったのは誰のせいだと思ってるんだ。元はといえばてめえがわがまま言うからだろうがよ。


 雄英が全寮制になったのは正直嬉しいと思った。毎日出久と寝起きを共にできる。これで好きなときに好きなだけ出久を抱くことができるのだと。ガキの頃から気の遠くなるほど長い間思い続けてきて、やっと恋人といえる関係になったのだ。どれだけ抱いても足りないくらいだ。
 しかしそう都合よくはいかなかった。どういうわけか出久が拒んだのだ。
「無理だよ、かっちゃん。皆がいるのに寮でなんてできるわけないだろ。壁ごしに隣の部屋に声が聞こえてしまうかもしれないよ。週末に家に帰った時でいいんじゃないかな」とわけのわからないことを言う出久に「全然足んねえんだよ!てめえ、俺を干からびさせるつもりかよ。ふざけんな、クソが!」とムカついて怒鳴りちらした。だが出久は譲らなかった。仕方なく渋々折れるしかなかった。
 不本意だがこっちから告白したせいか、出久にあまり強く出られないのだ。はじめに折れて折れて始まったのがいけなかったかも知れねえ。あいつはああ見えて頑固だ。ゴネれば俺が折れると思ってやがる。何事も最初が肝心ってやつだ。クソ忌々しい。
 デクの奴は俺ほどやりてえわけじゃねえのかよ。やってる時は気持ち良さげによがってるくせによ。つき合い始めてすぐにがっついてやっちまったから、あいつの考えがわかんねえ。
 毎日すぐ側に、手の届くところにいるのだ。登校してから下校までずっと同じ空間にいる。朝も夜も同じ寮の中にいるのだ。2人きりになる機会だって何度もあるのだ。すんなりと伸びた首筋にしゃぶりつきたいと思っても、週末までお預けだと。頸、唇、Tシャツの下に隠された肌。あいつを見ているだけで触れた感触が、体温が、身体の奥の熱さが蘇る。付き合ってんじゃねえのかよ、俺らはよ。
 欲求不満で我慢ならなくなり、一計を案じた。寮じゃなければ文句ねえんだろう。外に連れ出して一晩中いじめ抜いてやるわ、と。


 エレベーターで3階に上がり、部屋に入って鍵をかけた。
 綺麗に掃除された部屋。大きなベッドと奥にある硝子張りのシャワールーム。湯船まで透明だ。片方の壁は一面の鏡張りで、出久と自分の姿が映っている。鏡の中の出久は不安そうにちらちらと勝己の様子を伺っている。勝己の面は眉根をぎゅっと寄せて不機嫌なのがもろに出ている。見上げると天井も格子柄の鏡張りだ。
 枕元のパネルで間接照明を少し明るめに調整した。顔がよく見えるほうがいい。ついでにドレッサーの引き出しを開けた。何も入ってない。ベッドサイドにコンドームにジェルや性玩具の自販機がある。コンドームは用意してきてはいるが、他の玩具は見たことがない。折角だから使わせてもらおう。勝己はにやっと笑う。
 一通り確認して、枕元に自販機で購入した玩具を並べる。支払いは自動精算機での後払いだ。出久はそわそわと落ち着かない。
 シャワールームを開ける。シャワーだけでもいいが、湯船があるなら浸かりたい。蛇口を捻り湯を張った。ドアを閉めると湯気が透明な壁を白く曇らせてゆく。
「風呂に入んぞ、デク」
 と言うとビクッと出久が震える。ことここに及んでのその反応にイラッとする。
「今更なんだてめえ!ラブホ入った時点でわかってんだろうが」
「でもでも、明日は学校あるんだよ」
「ああ?問題ねえだろ。早く起きて朝イチで登校すりゃいいだろうが!」
 腹立ち紛れに出久のコートの襟をつかんで引きよせる。鼻先が触れそうな距離。そういやキスもあんまりしてねえぞ。学校でも寮でも人目につくからと出久が気にしやがるからだ。クソが!
 顎を掴んで噛みつくようなキスをする。唇から伝わる出久の体温。久しぶりの柔らかさ。舌を差し入れて口内を乱暴に荒らす。「ん、ふ」と出久が甘い吐息を漏らす。唇を離して角度を変えてまたキスをする。ほんと、全然足んねえわ。
 ぐずぐずしている出久のコートを脱がせ、「さっさと服全部脱げよ、おら!」とひん剥いて出久をシャワールームに叩き込む。床に落とした出久の服を椅子の上に投げつけ、イライラしながらベッドに腰掛ける。
 キスにちゃんと応えてるくせによ。往生際の悪い奴だ。学校だから寮だから、それが何だってんだ、クソが!
 透明な湯船に肩まで浸かっている出久。湯気に曇った硝子越しでも湯の中で赤く染まった身体が丸見えだ。首元から背中のライン、太腿、折り曲げられた膝に脹脛。
 ずくりと勃起の感覚。身体は待てねえみてえだ。俺も入るとするか。
 勝己がシャワー室のドアを開けると、「え、かっちゃんも入るの?」と出久は驚き、勝己の下半身に視線を移して狼狽える。こっちは準備万端だっつうんだ。
 つま先を浸けて湯温を確認する。自分にはちょっとぬるめだ。湯舟にザブンと飛沫を立てて入り、出久と向かい合わせに膝を立ててしゃがむ。出久の膝の間に片膝を挟ませる。
 出久は目のやり場に困っているようだ。そっとつま先を前に滑らせる。陰嚢をふよんと突いて口角を上げる。出久は「わあ!」と慌てて立ち上がる。
「かかか、かっちゃん、僕、身体洗うね」
「はっ!んじゃま、俺もそうするわ」
 洗い場には透明で凹型に縦に割れ目の入った椅子が2つある。腕が一本通るくらいの割れ目だ。座らせたまま性器を弄れるわけだな。所謂スケベ椅子ってやつだ。
 前の椅子に出久に座るように言い、勝己は後ろに座って出久の背後から腕を回し、下腹部に指を滑らせる。体毛の下のその先の、敏感な部分に指を下ろす。
 「ちょ、や、かっちゃん」と慌てる出久の、まだ元気のない性器を指先で摩り、亀頭を摘んでやわやわと愛撫する。いやいやと出久は首を振り、きゅうっと肩を竦ませる。暫く擦っていると静かになった。息を潜めて耐えている。性器の芯が育って元気になってきたな。椅子の割れ目から手を入れて出久の窄まりと睾丸の間を触る。出久はひゃあっと色気のない声を上げる。指を後ろに引いて窄まりをつつき、撫でる。
「便利な構造だな、この椅子。座ったままで慣らせんじゃねえか」
「や、かっちゃん、僕、自分で」
「させねえよ、クソナード」
 ボディシャンプーを手指にとって滑らせ、ずぶりと指を埋めて内部を捏ねる。
「あ!ああ、かっちゃん」
「暴れんな!」
 跳ねる出久の身体を片腕で押さえる。ぐにぐにと指を入れては引き抜いて慣らす。
 出久の身体の外側も内部も余さず洗ってやった。湯舟に浸かり出久を背後から抱いて膝の上に乗せる。前に回した腕で強く抱きしめ、ペニスを扱いてやる。出久は茹だったみたいに肌が赤くなっている。項をペロリと舐めてキスをする。勝己の勃起に出久の尻が乗っかり、双丘で挟んで刺激してくる。
「あ、あ、かっちゃん、もう、動かさないで」
「デク、いっちまえよ」と吐息だけの声で耳元で囁く。
 出久はふるっと震えるが、「お願いだよかっちゃん。お湯を汚したくないよ」と懇願する。
「しょうがねえな」
 どうせ湯は抜いちまうのによ。出さないよう勃起の先端を抑えてやる。はあ、と出久はほっとしたように溜息を吐く。つれえんじゃねえのか。出さねえと身体に熱が篭もるだけだろうが。
 悶える出久を抱えて立たせ、バスタオルでざっくりと水分を拭き取った。ベッドに横たえてペニスを咥えてやる。出久の味だ。
「や、ダメだよ、かっちゃん、出ちゃう、あ、ああ、あふう」
 出久はすぐに達した。口内のものを飲み込んで上半身を抱き上げ、キスをする。舌を絡めるキス。舌先から裏側を舐め頬の内側もぬるぬると舐めて犯す。
「ん、苦いね」唇が離れるととろんとした瞳で出久が言う。
「ばあか。てめえの味だろうがよ」
 再び寝かせて湯上がりの肌にキスの雨を降らせる。ほんのり赤くなった肌に吸い付き、さらに赤い痕をつけてゆく。
「あ、跡はまずいよ。明日学校だよ、かっちゃん」弱々しい声で出久が抗議する。
「体育ねえんだから構わねえだろ」
「キ、キスマーク、一日経っても取れない時もあるんだよ」
「いちいちうるせえわ!俺に指図すんな、クソが」イラッとして続ける。「大体今更だろうが。隠す必要ねえだろ。クラスの奴ら皆俺らのこと知ってんだからよ」
「だからだよ!虫さされとか言い訳しても誤魔化せないじゃないか」
 ぐたぐた言う口を塞いでやる。
 出久の頭の横に座り、「出久、口開けろ」と言う。出久は上目遣いに勝己に目を向けると、そろっと口を開く。腰を進めて出久の口腔内にペニスを突き入れる。出久の舌先が先端を舐め、ねっとり熱い粘膜が性器を擦る。勝己はさらに奥に突き入れる。出久は頬を窄めて口内を狭くして竿を軽く締め付ける。
 腰を前後に振り、出久の口淫を堪能する。不慣れで決して上手くはない。俺の方が遥かに上手いだろう。だが出久の拙いそれがまた唆るのだ。
 足を大きく開かせて膝を立たせる。ジェルを指で捏ねて温め、後孔に人差し指を突き入れる。第一関節、第二関節、根元まで入れて掻き回す。
 熟れた後孔は出久の内部への道だ。何考えてんのかわかんねえ出久を暴く手がかりだ。快楽に溺れさせてやるわ。引き抜き、突き入れる動きを繰り返し、念入りに広げてやる。指を二本をぐりぐりと捻じいれる。内部を捏ねるたび潤滑油と粘膜が擦れて滑った水音を立てる。いやらしくて耳に心地よい。出久はあふ、と悶える。
 準備は整った。いつもならもう挿れているところだが。勝己はついっと枕元に視線をやる。整然と並んだ性玩具。一つ一つを品定めする。コードのついたカプセル錠みたいなローター。これを試してみようか。
 コードを伸ばし、カプセルで出久の乳首を摩りスイッチを入れる。ブウンと軽いバイブ音。
「ん、あ、かっちゃん、なに?」
 振動に悶える出久。乳首がぷくりとたってきた。チュッとくちづけして舌で転がし、もう片方の乳首をローターで撫でる。
「過敏だな、てめえの乳首立ってんぞ」
「変なことしないでよ、かっちゃん」
「はっ!もっと変なことしてやろうか、デクよお」
 勝己は枕元に手を伸ばし、陰茎と陰嚢を忠実に模した半透明の張り型を見せてにやっと笑う。
 出久は目を見開き、「え、それは、ないよね?かっちゃん」と怯える。
 スイッチを入れるとそれは蛇のようにくねくねとくねる。
「いい動きだよなあ、デク」
「なにそれ、まさか。僕の中に?嘘だろ?」
「そのまさか、しかねえだろうが」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
 嫌がる出久を押さえつけ、両足を太腿の上に抱え上げる。
「折角の機会だからよ、味わってみろや」
 張り型の先端をひくつく出久の窄まりに擦り付けると、ぬるりと挿入する。
「やっ、ああ!」
 出久は足を閉じようとするが勝己の胴を挟むだけで果たせない。張り型をずぶりとさらに体内に沈めてゆく。
「俺のより細えんだ。入んだろ」
 出久は目を瞑り、ん、ん、と声を抑える。ほとんど挿入したところでスイッチを入れた。ぶうんと玩具が震え始める。
「ああああ!」と出久は悲鳴を上げる。「やだ、なにこれ、かっちゃん、いや、やだよ」
 出久はあられもなく悶える。中をあのくねりに擦られているのだろう。半分ほど引き抜いてみる。張り型のくねる動きにひくつく窄まりはなかなかいやらしい。もっといたぶってやる。引いては押し込んでゆっくりと抽送させる。短い悲鳴がやがて嬌声のように変わる。次第に出久の性器が勃起してきた。
「んん、あ、かっちゃん」
 息も絶え絶えに出久は勝己を呼ぶ。潤んだ目で見上げる。唇が何かを言いたげだ。
「なんだ」と促す。ぐっと押し込んでスイッチをオフにする。
「君がいい」出久は言う。「こんなものじゃなくて君がいいよ」
 なんて言った、デク。
 俺を欲しいって言ったのか?
「俺が、いいのかよ、デク」
 胸が痛いくらいに騒めく。これは悦びだ。思いがけず出久から求めてやまなかった言葉を引き出した。
「もっかい言えよ。クソナード」
「君が、いいよ。かっちゃん」
「そうかよ、俺が欲しいんだな。デク」
「そうだ、よ」
 気分が高揚する。挿れてえ。めちゃくちゃにしてやりてえ。
 見たこともない悶え方をする出久を見るのも愉快だが、俺は全然気持ちよくねえしな。そろそろ突っ込んでやりてえ。 
 とはいえ普通にやったってつまらねえな。
 後孔から張り型を引き抜いてやる。穴はひくついて閉じられ、窄まりに戻る。
 ほっとした様子の出久の身体をひっくり返して四つ這いにさせた。背後に被さり、半勃起した出久の性器を掌で包みこみ撫でる。
「ケツ上げろよ。デク」
「ん、うん」
 玩具の刺激が強かったか。ぐったりとした出久は頭をシーツにつけて腰を上げる。勝己はローターを手に取り、出久の中にぐっと押し込む。
「んん、かっちゃん?何か入れた?」
 ぼんやりとした声で出久が訊いた。
「ああ、いいもんだぜ」といいざまに勝己はローターのスイッチを入れる。
「あ、いや!かっちゃん。そういうのやだって言ったのに、やあ」と出久は身悶える。
「てめえの欲しいもんもくれてやるから安心しろよ」
 ニヤリと笑い、勝己はコンドームを装着して出久の腰を掴んで引き寄せると「ほらよ!」と、ローターを入れたままの窄まりにペニスを当てて深く突き入れた。
「ああ!」出久は悲鳴を上げる。
 先端に触れるローターの振動。勝己はそれを内部の奥深くに押し込み、擦り付けるようにジリジリと突き上げる。 性玩具で広げられた窄まりは、易々と勝己を受け入れてゆく。
「いや、ああ、かっちゃん」
 出久の声がすすり泣きのように変わる。ローターはさらに深く潜り出久の中を蹂躙しているだろう。陰茎に絡むローターのコードからも震えが竿に伝わる。やべえ、こっちも振動でいっちまいそうだ。早すぎるわ。スイッチをオフにする。
「いや、いやだ、かっちゃん」
 出久は堪らずに吐精した。収縮した内壁が勝己を締め付けてきゅうっと刺激する。勝己はふう、と息をついて射精感を受け流す。あぶねえ、まだ早えわ。
 バックだと普通は出久の表情は見えない。だが鏡張りの壁なので顔がよく見える。射精した瞬間の出久の朦朧とした表情。唆る。堪らない。振動の余韻のせいか、ヒクヒクと肉襞が震える。
 出久の陰茎に指を滑らせて摘む。竿を摘むと芯がある。射精したばかりなのにまた勃起仕掛けてるようだ。
「はは、やらし、てめえもやりてえんじゃねえのかよ。寮ではやりたくねえとか、すかしやがって」
「違うんだよ」息を切らせて、途切れ途切れに出久は言葉を紡ぐ。「やりたくないんじゃ、ないよ」
「んだよ、わけでもあんのかよ」
「正直に言えばやめてくれる?」と出久は訊く。
 やめる?何をだ。全然足んねえわ。ざけんじゃねえぞ、クソが!内心の悪態を押し殺しつつ先を促す。
「理由があるのか。言ってみろよ」
「その、ええと、言いにくいんだけど」
 もじもじと煮え切らねえな。じれってえわ。
「デェク、またスイッチ入れっぞォ」
「待って待って!わかった、言うよ」
 出久は振り返り、勝己と目を合わせてくる。真っ直ぐ目を合わせるのは出久の癖だ。こんな時でも律儀に勝己を直視する。
「エッチした次の日、君の顔が見れないんだ」
「はああ?」
 またかよ。またなのかよ。付き合って間もない頃に、てめえは俺の顔が見れないと言いやがった。あれからどんだけ経ったと思ってんだ。てめえはまたぐちゃぐちゃと考えてんのかよ。何処に迷う理由があんだよ。てめえは俺のだろうが。ふつふつと腸が煮えくり始める。
「恥ずかしくて、見れないんだ」出久はぽそりと続ける。「かっちゃんの顔を見ると、どんなことしたかとか、されたこととか、思い出して恥ずかしくなってしまう。君のどこを見ても、指とか見ただけでも思い出しちゃうんだ。君に触れられた感触とか君の身体の重みとか。キスをした舌の動きとか、君のものが中に入ってくる圧迫感とか蘇ってきちゃうんだよ。すごくすごく恥ずかしいんだよ」
 張り詰めていた気がすうっと抜けた。こいつ、それが理由だったのかよ。俺とのセックスを思い出すからっていうのかよ。
 思い出せばいいじゃねえか。ずっと俺のこと考えてればいいじゃねえか。俺もそうなんだからよ。てめえの身体を表情を反応を、何度も反芻してんだからよ。あああ、なんだよてめえ。マジかよこのクソナードが!
 勝己は出久の中からペニスを抜き、ローターも引き抜いた。はあ、と出久は溜息をつく。ほっとする間など与えてやらねえ。出久の身体を横倒しにして添い寝し、背後から抱える。片方の太腿を抱え上げ、コンドームを外すと陰茎に手を添えて再び中に押し込む。
「う、うあ、え?かっちゃん」
「それ聞いてやめるわけねえだろーが。なあデク」
「でもでも、感触が違うよ。コンドーム、外した?」
「ああ、わかっか。さっきよりスムーズに入らねえもんな」
「なんで?どうして外しちゃったんだよ?」
「生でしたくなったわ。こっちのが気持ちいいしよ」とぐいっと突き上げる。怒張が窄まりに深くめり込む。
「ああ!」と叫び、シーツを掴んで勝己の挿入に耐える出久。
 正面の鏡の壁に勝己に貫かれている出久が映っている。恍惚とした表情。繋げられた身体、勝己の律動に合わせて出久のペニスが揺れる。
「てめえも気持ちよくしてやっからよ」
 勝己は出久の足を下ろし、いったんペニスを引き抜いて身体を起こした。出久の両足を揃えて身体をくの字に曲げさせると、再び先端を押し当て、腰を前に強く振って勃起を根元まで埋める。衝撃に「う、あ」と悶える出久の陰茎を掴んで、扱きながら腰を打ち付ける。
「中でいくぜ、デク」
「は、あ!はあ、かっちゃん。酷いよ、明日学校なのに」
「洗えばいいだろうが。ああ、俺がちゃんと洗ってやるわ」
「それ、もっと恥ずかしいから」
「はっは!さんざん悩ませやがってよ。覚悟しろよ。もう寮でもどこでも容赦しねえでやってやるわ」


 勝己の性器に中を荒々しく掻き回されて、もう無理だと出久は音をあげる。構わずに背後から抱きしめて深く突き上げる。
 獣の交尾のような姿勢は興奮する。
 何度目の挿入になるだろう。俺は余裕だが出久は限界か。だが喘ぐ声は甘い。様子を見ながら小刻みにペニスを動かす。先端で丹念に探る。気持ちいいところを擦られ、声を殺して感じているのを隠そうとする出久。髪をかきあげ、頸を舐めて噛んで背骨のひとつひとつを順に口付ける。
 、俺は出久の感覚全てを支配しているんだ。
 勝己は満足して笑う。引き抜き、突き上げ、激しくピストン運動をする。ガクガクと身体を揺さぶる。肌を打ち付ける。シーツが乱れ、ベッドのスプリングが軋む。
「デク、デク、ふ、は、はあ」
 勝己は名を呼び、獣の如く唸る。背筋から痺れが走り、中心に熱が集まり内部で達する。出久の中に注がれる勝己の精。
 勝己は笑う。
 鏡の中の勝己も。満足そうに。笑う。

 

END