碧天飛天の小説サイト

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習作 青葉編(R18)

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「見つけた。帝人先輩」
 図書室の机に座っている帝人を見つけ青葉は明るく声をかける。帝人は顔を上げる。
「なんかあったの?」
「なにかなきゃいけないんですか?何もないですよ。一緒に帰りましょう」
「探したい本があるんだ。また今度ね」
「手伝いますよ」
 帝人は青葉を見上げ立ち上がると書架の方に向かい歩き出す。その後を青葉はついてゆく。部屋に二人の靴音が響く。他に誰もいない。青葉は帝人に追いつき腕を掴み書架の奥の壁に押し付ける。
「青葉君?何?」
 訝しげな声に笑って答える。
「探し物なんかないんでしょう。俺を避けてるだけだ」
「君を避ける理由なんてないよ」
「俺が好きだって言ってからずっとそうじゃないですか」
 帝人は青葉を見つめる。
「困ったなあとは思ってるけどね。僕には何もしようがないし」
 青葉は苦笑する。それが答えなのか。
「じゃあ、先輩。いいですよね」
 低い声でつぶやくと帝人の身体を抱きしめ噛みつくようなキスする。抗う帝人を身体で押さえつけ。呼吸を奪うようなキスを続ける。

 放課後の図書室。翻る白いカーテン。静謐な空間に水音が響く。青葉は本棚の奥に帝人を追い詰め、かがんで口淫をしている。帝人は懸命に声を抑えるが喘ぎ声を抑えきれない。
「青葉くん、もうやめてよ」
 自分が帝人をこんな風に乱れさせていると思うとたまらない。もっともっと乱れさせたい。青葉は帝人のペニスを嬲りながら後ろの窄まりに指を滑らせる。
「何して、青葉くん」
「好きです、帝人先輩」
 青葉は帝人の中に指を入れる。するりと入る。
「あいつに慣らされたんですか」
 腹が立ちぐっと奥に指を突き入れる。帝人が眉を顰める。
「あ、君には関係ない」
「そうですか。でも今は先輩の側にいるのは俺だけだ」
 再び帝人のモノを咥えると後孔を掻き回すように弄りながらいかせる。帝人のモノが青葉の口の中で弾ける。その精液を手の平に吐き出し見せつけると、帝人は嫌な顔をする。その様に密かに歓喜する。
「悪趣味だね、君は」
「先輩、俺も欲しいです」
 青葉は帝人のズボンを脱がし片足を上げさせると慌てる帝人の両手を拘束する。
「俺も満足させてください」
 ベルトを取り前を寛ぐと屹立した青葉のペニスが現れる。青葉はペニスに帝人の精液を塗りつけて亀頭を帝人の後孔に当てるとぐっと挿入させる。
「先輩のここ、俺のを美味しそうに呑み込んでますよ」
「何言ってんだよ」
「もっと貴方を暴きたい」
 内壁を擦りながら熱い中を抉っていくと柔らかく締め付けられる。腰を振り身体を進めるとペニスが全て帝人の中に埋まり根元が触れ合う。
「先輩の中に俺がいますよ」
 無邪気に上気した顔で喜ぶ青葉。帝人は苦悶に少し快感を滲ませたようにみえる。青葉はゆっくりと屹立を出し挿れさせる。ペニスを突き上げては腰を引いて引き下ろしまた突き上げる。
「俺のが先輩の中に出たり入ったりしてますよ」
「君はおかしいよ」
「ええ、俺はおかしいんです。俺をおかしくしたのは先輩です」
 青葉は帝人の身体を抱きしめて 壁伝いに引き下ろすと繋げたまま帝人の上に乗り上げる。もう片方の脚も掴んで身体を開かせ激しく腰を揺らしペニスを帝人の中に行き来させる。
「先輩愛してます」
 一際奥に突き入れると青葉は帝人の中に欲望を注ぎ込む。
「先輩、先輩」
 ペニスを抜かずにうわ言のように呼ぶ。帝人を犯した。ずっと望んでいた。
「これ、強姦って言うんじゃないかな」落ち着いた帝人の声。「無駄なのに」
 なんとも思ってない声に泣きたくなる。無邪気で危うくて冷たい。そんなところに惹かれているけれど。
「意地悪ですね。先輩」正面から見つめる。「どうすれば俺を感じてくれるんですか」
 青葉のキスを帝人は拒まない。されるままの帝人に何度も唇を押し付け啄ばみ、口内の熱を求め深く貪る。惹かれるほどわかってしまう。 帝人は自分を少しも好きではない。帝人は周りの全てを壊しても自分すらも壊してもいいと。守りたいものに俺は入っていない。手の甲を貫いたボールペンの、あのひと突きで帝人は青葉を掌握したというのに。きっと何度その身を貫いても帝人は手に入らない。
「僕は君がすきだよ。かわいい後輩としてね」
 嘘ばっかりだ。わかってるのに。信じたくなる。

END

 

習作 正臣編(R18)

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 薄暗い部屋の中で正臣はやっと捕まえた帝人を組み敷いている。足を大きく開かせて間に正臣は覆い被さる。露わにした帝人の後孔に指を根元まで入れて出し挿れを繰り返す。指を3本に増やし捻じるように掻き回す。
「いや、正臣、なんで」
「やっとお前らしくなったな帝人」翻弄されて上気した帝人の顔が堪らない。取り澄ましたあの頃とも離れてから壊れた笑顔を浮かべる再会した時とも違う。俺が乱れさせているんだと正臣は 愉悦を感じる。柔らかくなった帝人の後孔はもう正臣を迎えられそうなくらい熟れている。濡るつく肉と指の擦れて起こる水音にこれは抱いていい身体だと錯覚しそうになる。
会うのが怖くて会いたくてたまらなかった。でも再会した帝人は変わっちまってた。壁に押し付ける身体は細っこいまま変わらないのに。帝人の壊れた笑顔に思わず正臣は腕を掴み駆け出し無理やり部屋に連れ込んだ。後ろ手に鍵をかけると帝人は訝しがった。
帝人、お前がどうしちまったのかわからねえけど」
正臣は自分のシャツのボタンを取りシャツを脱ぐ。鍛えられたしなやかな身体が露わになる。ズボンと下着を脱ぐと勃起したものが現れ、帝人が息を呑み後ずさる。
「俺はお前をどうするか決めてたんだよ」
帝人に大股で近づくと服を剥ぎとる。シャツを掴み破くと帝人は信じられないといった風に目を丸くする。お前は知らなかったよな、帝人。小さい頃からお前が好きだった。辛い想いをしていた時同じ高校に来てくれて嬉しかった。お前と再会して触れた身体に熱を分け合いたいと思った。小さい頃と違いその方法を知っちまったからだ。気持ちに気付いたけど言えねえ。でも離さないと決めたんだ。逃げんなよ、なあ、狭い部屋の中で逃げ切れるわけねえだろ。正臣は帝人の腕を捕まえ引き倒すと下着ごとズボンを剥ぎ取る。
「や、何?正臣」
正臣は帝人のペニスを掴むと扱き始める。抵抗しようとした腕を一纏めにする。立ち上がりはじめたそれを口に含むと帝人は慌てる。亀頭を舌で刺激し舐め続けると帝人は首を振って耐える。
「正臣、離れて、もう」
「いっちまえよ」
「やだ、離して」正臣の口内の帝人の先が弾ける。
「見ろよ、お前のだぜ」
正臣が吐き出して見せつけると脱力した帝人は顔を背ける。
「お前ん中に返すぜ」
「正臣?痛っ
」正臣は濡るつく指を帝人の窄まりに捩じ込む。暴れる帝人を押さえつけるとさらに深く入れる。
「こんなもんじゃねえんだ。こんなもんじゃ終わらねえぜ」

そうしてどのくらいの時間が経っただろう。
「正臣、もう」
帝人は弱々しく懇願する。正臣が指を抜くと帝人はほっとする。
「そうだな、もう俺のを挿れても大丈夫だよな」
「違うよ、あうっ」
正臣は亀頭を帝人の熟れた後孔に当てると膝を掴んで足を大きく開かせる。ぐっと腰を押し付けると性器をズッと一気に挿入する。帝人は悲鳴を上げる。
「全部入ったぜ、ほらよ」
正臣は拘束を解き帝人の手を取って繋がった部分を触らせる。帝人は信じられないという表情をする。
「な、お前俺に犯されてんだぜ」
正臣は身体を左右に揺すり中を擦る。帝人が喘ぎながら震える声で問う。
「なんで、正臣」
「お前がわからずやだからだよ」
「もう抜いて」
「いいぜ、帝人
正臣は身を引いてペニスを引き抜くと亀頭を入り口に食ませたまま止める。
「正臣?」
「なわけねえだろ」
正臣は帝人の腰を掴むと勢いよく腰を押し付けペニスを奥まで突き入れる。また引き抜き挿入する。
「いや、いやだ正臣」
「お前の身体は全然いやがってねえよ。ほら先っぽ残すと引っ張り込むんだぜ。」
正臣はそう言いながらギリギリまで抜き手を添え左右にペニスを振りながら捩じ込む。
「指も一緒にいけるんじゃねえか」
「いや、正臣、なんで」
正臣はペニスに人差し指を添えると帝人の体内に捻じ挿れてゆく。帝人は仰け反って喘ぐ。
「あ、う」
「辛いか、ここは柔らけえから大丈夫だよな」
捻じ込んだ指をペニスの周りに滑らせながら正臣は言う。
「いた、い、正臣」
帝人の瞳から一筋涙が流れる。正臣はにっと笑いその涙を舐めとる。
「お前を戴くぜ、帝人
正臣は指を引き抜き帝人の身体を抱きしめて身体を密着させる。ずっと熱を分け合いたいと願っていた。こんな形で叶うなんて。でも、もう止まれない。正臣はペニスをゆっくり行き来させ徐々に腰を強く振り、中を深く浅く擦り続ける。帝人は快感とも苦痛ともつかない嬌声をあげる。正臣はキスをしてその口を塞ぐ。初めての口付けがこんな風になるなんて。正臣は本能のままに舌を入れ逃げる帝人の舌を捉えて摺り合わせ口内を貪る。帝人の身体の下から上から貪る。帝人の中の浅めの感じる場所を細かく亀頭で擦り、深く入れるときは亀頭が抜けそうなほど身を引いてから強く衝き上げる。
「そろそろ俺も限界」深く入れながら動きを早くすると帝人も気づき正臣を見つめて言う。
「俺の中でいくの?」
「ああ、嫌だって言ってもやめねえ」
「そんなことしたら戻れないよ」
「戻るつもりなんてねえよ」
正臣はズッと深く挿入すると低く呻き断続的に帝人の中に吐精する。
帝人帝人
荒く息をつきながら譫言のように言葉を紡ぐ正臣を抱きしめて帝人は言う。
「戻れるよ、正臣。俺がそうする」
虚空に話しかけるような帝人の声。正臣は帝人の名を呼びながら悲しげに目を瞑る。

END

 

イカロスの牢(R18) 神様ドォルズ

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匡平。お前が俺を見て俺を呼んで俺を選んだんだ。何一つ持たず 偽りばかりの世界は俺の敵だった。苛立つものいつか壊してやると。そんな俺の前にお前は現れた。雲が切れて光が射した気がした。俺が選ばれるはずだとそうなれば嬉しいとお前は言った。何かわからない物に選ばれるよりその時俺はお前が欲しくてそのために選ばれたいと願った。二人で過ごす日々は楽しかった。初めて生まれて良かったとそう思えた。お前は坊ちゃんでお人好しで傲慢で愛しい。挑発すると張り合って俺の思い通りに動くから。馬鹿だなと思うけどお前も望んでたんだろう。世間知らずの甘ちゃんでもだからこそ窮屈で鬱屈してただろう。

身を絡ませ合う少年達。水音と荒い息遣いが睦み合いを示す。マットレスに押し倒した裸の匡平の身体を覆い被さる阿幾の手が這い回り愛撫する。深く口付けて蹂躙していた舌は首筋をなぞり吸い付いて痕を残す。窄まりに深く埋め込まれ蠕いている指が増やされ匡平は呻く。
「いい声だすじゃねえか匡平」
「うるさい」
匡平を見て阿幾は笑い指を揃え抽送させる。指が引き抜かれ剥き出しの阿幾の股が押し付けられそれが勃起しているのに匡平は気づく。
「お前も嫌ってわけじゃないんだろ?よがってるもんな」
「せめてゴムつけろよ」
「やなこった」
「ふざけんなよ。お前この前も」
阿幾は匡平を見下ろし睨みつける。匡平が気迫に息を呑むとくっと笑う。
「生だとお前を穢してる感じがすんだよなあ」
阿幾は匡平の脚を開いて性器を窄まりに擦り付けると先端を押し付けねじ込む。
「お前、い」
衝撃にずり上がる匡平の腰を押さえつけ、腰をぐっと押し付け捻じ込んでゆく。根元まで貫き肌が触れ合う。
「お前は俺を放っておけないんじゃない。気になってしょうがないんだろう」
「誰がお前なんか」
「おい、暴れんなよ。外れたじゃねえか」
仰向けにされる匡平。阿幾はのしかかると脚を開かせ正常位でまた入れる。律動するたび阿幾は中を抉り突き上げる。再び匡平の身体は阿幾に繋げられてゆく。後孔で阿幾のものを扱かされ中に印を刻みつけられる。

事件で俺はクラミツハとお前を取り上げられた。混じり気のない傲慢さはお前の力。俺はそれに魅せられた。でもお前はそれを忘れようとして。何よりお前は俺から離れて俺をお前の中で他の奴らと同じところまで落とそうとした。それが許せない。クラミツハが俺の手に戻ればお前も戻るはずだと。傷を舐めあう同類に逃げようと縋られ断る。女は同じだ。利用しようとするか愛してと要求するか。全く俺が匡平に抱く欲と同じで嫌になる。牙を抜かれ生きられるのかと。でもお前を諦めれば楽になるかと迷う。同類に死なれた。その死に様が自分の末路のように思い、何もかも嫌になり死んでもいいかと諦めようとした。でもお前を諦め切れない。まだ死ねない。惹かれて止まない光を。お前と過ごした日々を。俺がまた刃を手にすればお前を取り戻せる。お前だけが俺を生かすんだ。諦めかけた俺を引きずって救い化け物を破壊したように。お前といれば自由だ。お前もそのはずだろ匡平。

学校の靴箱前で阿幾は匡平の前に立ちはだかる。
「俺を避けてるよなあ。匡平。今更なんのつもりだ?」
「俺は受け入れたつもりはない」
「はっ。さんざんやってんだろ」
「だからだ。受け入れたわけでもないのに」
「番いのようにしてると思っていたら次にはころっと態度を変えやがる。なんだよお前は。ふざけんなよなあ」
阿幾は匡平の腕を引き家に引っ張り引きずりこむ。部屋で阿幾は匡平に背後から覆い被さり尻を剥き出しにすると勃起したそれをあてがい無理矢理挿入しかける。先端が入り口を拡げ入りかけ匡平は痛みに目が眩みそうになる。匡平は絶え絶えに押さえつける阿幾に言う。
「部屋にローションがある」
「最初からそうしてろよ」
と吐き捨てるように言い、阿幾は匡平を連れて部屋を移動する。ローションを見つけベッドに匡平と共に倒れこみ服を脱ぎ名前を呼びながら匡平の服を肌蹴る。後孔にローションを塗り込めかき混ぜるように荒々しく指を蠢かすと引き抜き阿幾は一気にその身体を貫く。匡平は後背位からがくがくと揺さぶられ責められる。

俺は座敷牢へ入れられた。世話係の他は匡平だけが来る。俺を止めた匡平はククリを手離したという。匡平は何もなくなった俺に拘るのをやめろという。何を言ってるんだ。俺がお前に固執するのはお前のせいだろ。前にも増してお前の存在だけが灯火のように眩しいんだ。たまにしか来なくてもむかつくことしか言わず俺もなじることしかできなくても短い逢瀬を待ち望んだ。だが匡平が村を出たと聞かされる。俺を置いてか。もう逢えないのか。お前は俺のだろう。出会った時からそうだろう。違うというなら何故出会ったんだ。取り上げるつもりなら何故匡平を俺に会わせたんだ。匡平の名を呼び絶叫する。

幼い頃を回想する。阿幾と匡平は一緒に風呂に入っていた。阿幾に「ここに気持ちがいいところがあるんだぜ。教えてやる」と匡平は後孔を解され悶えさせられ壁に手をつかされ初めて入れられた。阿幾のまだ幼いペニスに知らされたばかりのいいところを擦られ自分も勃起した。突きながら抱きしめられ俺のものだと何度も囁く阿幾の熱に浮かされたような声。

初めての時も奥を熱い迸りに濡らされた。抜かれても身体の中に阿幾を皮膚と粘膜の感触を感じるのがお前のいう穢すということなのだろうか。
「好き放題突っ込みやがって」
「お前するか?できんのか?」
「それは」
「させねえよ。お前はしたいわけじゃねえもんな。嫌がらねえけど求めねえもんな」
座位に体勢を変えられ接合部の角度が変えられ体重でさらに匡平の奥深く阿幾のものがめり込む。喘ぐ身体を阿幾に深く抱きしめられ繰り返し名を呼ばれる。
「匡平、匡平、お前が俺と同じように俺を思えばいいんだ」
「俺はお前を抱いた時嬉しかったんだぜ。たったひとつの欲しいものをやっと手に入れたってな」
阿幾は腰を突き上げながら続ける。
「だけどお前は感じてるくせに溺れてるくせに逃げたがるよな」
律動が激しくなり匡平は阿幾にしがみつく。
「抵抗しやがる。そういうとこがむかつくんだよ」
「お前逃げたりしねえよな。なあ、匡平」

お前は俺を支配したいのか。阿幾。
俺はこいつに流される。俺は流されたくないんだ。

誰かが鍵を開けたのか。誰だっていい匡平の元へ行くだけだ。
匡平とぶつけ合う。思いを身体を。匡平はいつも避けていた視線を俺とまっすぐに交わす。座敷牢に戻れとでも俺と共にあると。もう俺から逃げないと。心が鎮まり憤りが収まる。周囲への怒りとかそんなものより俺の望んでいたのは匡平だった。幼い頃のようにいつも側にいてお前の特別でありたいと。儘ならない事を許さない傲慢さは強さだ。儘ならないことが当たり前で弱いものに当たる狡い俺には眩しくて焦がれてやまない。焼かれて堕ちるとしても求めるんだ。諦めしかなかった俺に温もり喜びと渇望と苦しみと悲しみをお前だけが。お前によって世界は色鮮やかで容易く色を失う。。

死なず座敷牢という名目で匡平の屋敷に軟禁生活の阿幾。匡平は村に戻り阿幾と共にいるという約束を守る。その日も軟禁部屋を訪れた匡平が去ろうとすると阿幾が引き止める。
「なあ、やろうぜ」
「何を」
「わかってんだろ」
「家に人がいるだろ」
「知ったことかよ」
阿幾強く引っ張り倒れた匡平の身体に馬乗りになる。屈み込み顔を寄せると匡平が横を向く。耳元で囁く。
「俺のせいにすればいいだろ」
「お前のせいだろ」
「ああ、そうだ。でも俺のせいにはできないだろ、匡平。」
「阿幾」
「きっと俺はただじゃ済まないぜ。俺は構わねえよ。でもお前はいい子だもんな。俺をそんな目にあわせたくねえだろ」
匡平は正面に向き直ると阿幾を見上げる。
「早く済ませろよ」
阿幾はにやりと笑うと「そりゃお前次第だな。協力してくれなくちゃな」
匡平の顎を掴むと阿幾は匡平にキスをし深くあわせて舌で味わうように口内を貪る。
「じゃあ手始めに咥えてもらおうか」
阿幾はベッドに腰掛け脚の間に匡平を座らせ前を寛げる。阿幾の怒張したものを見て口を開けたものの躊躇する匡平に焦れて阿幾は匡平の頭を掴み口に突っ込む。先端が匡平の温かい口内に包まれ舌の柔らかい感触に阿幾はたまらなくなる。
「上手にやれよ」
匡平は観念したように咥えたものを舐める。
「お前が俺のをしゃぶってるなんてな。クルもんがあるよな」
匡平は阿幾を睨みつけるがかえって阿幾の嗜虐心を煽る。阿幾は笑うと匡平の後頭部をぐっと引き寄せ深く咥えさせる。
「真面目にやれよなあ」
驚きえずきそうになる匡平に阿幾は言う。

「夢を見るんだ」
阿幾は組み敷いた匡平の身体をゆっくりと穿ちながら言う。
「なんの」
匡平が見上げる。繋がれたところが融けそうに熱い。匡平の首筋から胸を指で辿る。胸に手を当て鼓動を感じる。
「長い夢さ。お前は村を出て行き俺は置いてかれる。俺はお前を追いかけて追いかけて。お前の声が聞こえて俺は振り返り。そこでいつも目が覚める」
覆い被さり腰を揺らし抜き挿しする。膝裏を持って脚を曲げさせ深く挿入してゆく。押し広げてゆく確かな感触。匡平が小さく声を上げる。

「夢だったのかもしれないね」

墜落し地に降り立ち今まで側にいた匡平を探す。
俺の名を呼ぶ幼い匡平の声が聞こえ振り返る。

END

 

イゼルカント・レポート ガンダムAGE

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 いずれ手に入れるエデンを見ておくのだ。お前や今この地に生きる皆には想像もできないかもしれない。本当に存在するとも信じられないかもしれない。今は私だけが知る地球。いつか帰る場所エデン。

×年×月×日
何光年もの旅の末火星に辿りついた。私はフェザール・イゼルカント。若輩ながら移民団に抜擢された遺伝子工学者。新天地火星は赤い砂漠。ここを開発して私達は創造主となる。
×年×月×日
この土地は未知のウィルスがあった。マーズレイと名付けた死病により次々と乗組員が死んでいく。ついに私1人になった。救助信号を打つ。救助が来るまで生き延びねばならない。私もいつ死ぬかわからない。冷凍睡眠に入る。起床するが通信は未だ入っていない。待つしかない。
×年×月×日
1人の孤独に耐えかね許可なく私自身のクローンを作る。睡眠学習を施し成長させる間冷凍睡眠に入る。起床して自分と瓜二つの存在を目覚めさせ生活する。孤独が埋められる。だがウィルスのせいで彼は長く生きられない。僕は何のために生まれてきたのと言う彼に私は手を握り謝り続ける。
×年×月×日
通信は入らない。見捨てられたのか。ならば生き延びることを考えねばならない。許可など不用。乗組員全員のクローンを作成し私は冷凍睡眠に入る。目覚めると多くのクローンが成長している。人出を得てコロニーを建設。衛星軌道上に打ち上げ火星の大地を離れる。これでマーズレイから逃れられる。クローン達と喜びを分かち合う。
×年×月×日
次世代の子供たちも生まれる。私も伴侶と子を得る。だがコロニーでもウィルスからは逃れられない。人々は若くして死んでゆく。研究し改良を重ね病を克服するまで私は死ねない。短命な種族として諦観する子供達にそうではないのだと教えねばならない。
平穏な日々の中私の子も失われる。伴侶は今後私を1人にしない為に冷凍睡眠に入る。孤独がまた訪れる。膨れ上がる望郷の念。私と乗組員を見捨て忘れ去ったであろう星。帰りたい私の星。帰れない私の星。
×年×月×日
失われた遺産が見つかる。戦争の為のテクノロジー。研究し応用すればコロニーを救うことができるかも知れない高度な技術だとわかっている。そんなことはわかっている。地球に我々の存在を知らせねばならない。帰ったとて我々を受け入れないだろう。次世代から地球の存在と戦争の必要性を教えこみ長期計画を練り優れた子供を選別する。
×年×月×日
私の身にマーズレイの兆候が見える。とうとう私の番か。だが死の前に一目地球を見たい。端末として兵を送り込む。彼らの目を意識を借りて見た地球とそのコロニー。なんと変わってしまったことか。いや、変わってなどいないのかも知れない。我々を見捨てた過去の地球となんら変わらないのかも知れない。
×年×月×日
また兵をコロニーに潜入させたのは正解だっただろうか。間違いだっただろうか。迷いが生まれる。火星に来る前の私達のように思いやりと優しい心。希望に満ちた人々。懐かしく羨ましく惹かれてやまない。彼らと戦うなら滅ぼすことになるかも知れない。選別せねばならない。
×年×月×日
望郷の念に囚われ私の創造した世界の人々を巻き込んだ。地球のことなど知らない子供達にあり得るはずもなかった望みを吹き込んだ。ただ帰りたいとその思いで。罪深いと知りつつ望郷の念は押さえられずに。
×年×月×日
また私のクローンを作る。最後のクローンになる。私のかわりに地球を見てくれるだろう。私のかわりに地球の大地を踏んでくれるだろう。失われる私と乗組員の仲間達のかわりに。

END

鏡の中の少年 ガンダムAGE

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僕の時間はあの時に止まった。ユリンが死んだあの時に。

アセム編
僕は家族を知らない。だからいっぱい家族が欲しい。ずっとそう思っていた。でも大切な人達を奪う彼奴らが許せない。戦い続けるならいつ死ぬか分からない。家族を持つなんて無責任かな。ウルフさんみたいに機体を恋人にひとり身でいるしかないのかな。

病院にかけつけるとエミリーと赤ん坊が待ってた。布に包まれた赤ん坊を渡されて手が震える。小さな手小さな足。エミリーに言われるまで僕は自分が泣いてるのに気付かなかった。小さなこの子を守る。家族になってくれてありがとう。

アセムが泣き出した。ミルクもオムツ替えもしたのに。どうしたらいいのかわからないよ。慌てているうちに寝てしまう。眠いから泣いてたらしい。アセムがやっと笑う。何か言葉を喋った気がする。報告するとエミリーが笑う。肩車をせがまれる。大喜びで照明に手を伸ばす。せがまれる度に肩車をしてやる。プラモデルを買ってやる。何故かウルフさんの機体ばかりで遊ぶ。ちょっとむかつく。何度も肩車をせがまれる。男の子は外遊びをさせるべきと乗馬をさせる。前に乗せて小さな身体を抱きしめる。アセムに語りかける。僕らで家族を守るんだ。アセムはにっこり笑う。

久しぶりに基地から帰るとほっとする。今日も大丈夫。彼奴らに奪われたりしない。アセムは元気だろうか。僕のかわりに母や妹を守れ、このコロニーを守れとついそればかり言ってしまう。アセムは何か言いかけて止めてしまう。まだ考えているようで聞いたほうがいいのか待った方がいいのか迷う。エミリーはそんな年頃と言うけれど僕は言いたいことは言ってたよ。

コロニーへの襲撃をアセムが撃退したらしい。あれから襲撃は止んだ。嬉しくなる。さすが僕の息子だ。学校でいい友達が出来たみたいだ。色々相談もしたりするような友達らしい。帰るたびアセムが以前より元気に見えるのが嬉しい。

アセムはもう軍に入ると言う。士官学校に行けば出世も早い。でも側に置いて鍛えるのも悪くないか。忘れた頃にコロニーが襲撃される。アセムを追い詰めながらトドメを刺すことなく逃走したらしい。アセムは何か隠しているようだ。何か言いかけて止める。聞き出すべきかまた迷う。

ウルフさんの下で前線でいい働きを見せるアセム。でももっとやれるはずだと思ってはっぱをかける。さすが僕の息子だ。ぐんぐん腕をあげる。ウルフさんはあいつはお前を完璧だと誤解してるぞと揶揄う。そう見せるように頑張ってるんだよと返す。ウルフさんは笑いながらほどほどにしてやれよと言う。窓の鏡に僕の姿が映る。大人たちに追いつこうと必死に背伸びしていた頃の僕だ。

Xラウンダーじゃないほうが普通だ。何故アセムは焦るのだろう。十分実力がありながらどうして。アセムがまた独房に入れられる。何があったのか。何も言わないからわからないよ。危なっかしくて僕が前線に出るとますます無茶をする。赤い機体がいつもアセムを狙う。デシルも僕を挑発するためにアセムを狙う。アセムをガンダムに乗せたのは僕だ。僕が守らなきゃ。ウルフさんは俺に任せとけという。あいつの扱いは俺の方がわかるって。なんでだよ。

アセムが吹っ切れたように元気になった。ウルフさんのお陰なのがちょっと複雑だけど。お前ら肩に力が入りすぎてんだ。よく似てるんだよと言われる。ウルフさんがいてくれてよかった。なのに。ウルフさんの通信が途絶えた。アセムが泣いてる。 また僕の大切な人がいなくなる。その上アセムが要塞落下を防ぐと言って要塞内に飛び込む。止めたい。一度に2人も失うなんて耐えられない。だが他に方法がない。僕には止められない。わかるから。わかるけど。

地球に落下したアセムを見つける。大気圏を通過したのに無事でほっとする。アセムから初めて間諜だった友達の話をきく。赤い機体に乗っていたのが友達だと。一緒に降下を止めてアセムを助けて散ったと言う。信じられない。地球を守りたいのは奴らも一緒なのだと言う。あいつはいつも手加減していて俺はそれが何故なのかずっと気づかなかったと言う。アセムは友達の願いも守りたい、共存できる方法を見つけたいと言う。命の恩人とやら。お前のせいで厄介なことになった。僕は感謝していいのか怒るべきかわからない。死んだ者にかける言葉じゃないけど。

アセムは前線で優秀な指揮官として僕と二人三脚で改革を行う。アセムもその妻も彼奴らをただ敵とは見られないそうだ。戦い以外の別の方法を考えたいと言う。子供ができたら除隊するよと言う。それがいい。僕と別々の道を歩むことになるんだな。でもそれまでは一緒だ。それなのにアセムは最後の任務から帰らなかった。デバイスだけが見つかるなんて。最後の任務だったんだぞ。なんでこんなことになるんだ。僕が側にいれば死なせたりしなかった。彼奴らは地球を大切に思ってるんじゃない。地球を、大切なものを奪うつもりなんだ。僕は除隊した。もう家族から離れたくない。それにアセムのかわりに僕が父親をしてやらないといけない。

キオ編
キオに肩車をせがまれる。さすがに何度もはやってやれない。キオはプラモデルよりシュミレーターの方が好きらしい。ならば本格的にやった方がいいな。シュミレーターにはage2の機体もある。今は亡き機体だ。アセムのものだと教える前からキオのお気に入りだ。教えてからはage2ばかり使う。調整しないと扱うのが難しい機体だがキオはしなくていいと言う。ageシステムはアセムの腕前に合わせて機能特化させていた。まあキオなら扱えるだろう。

彼奴らを悪魔だと教えるとエミリーもキオの母親も悲しい顔をする。それはアセムの願いではないと。だが僕は彼奴らが許せない。きっとまた来る。心構えが必要なんだ。

彼奴らの襲撃がまたありそうだと情報が入る。しかも総司令は死んだはずのあの男だと。理不尽な怒りが湧き上がる。なんでアセムが死んだのにお前が生きているんだ。

キオは初陣から無邪気な戦いぶりで敵を撃退する。だが知り合いの死が衝撃だったようだ。才能はあるが戦場を知らない子供。悲しむ子供に戦争だと教えるしかない。アセムは戦争のない世界を見せたいと言っていたのに。僕は一体何を見せているのだろう。

アセムが生きていた。しかも海賊とはどういうことだ?なんで生きていて帰って来なかった?聞きたいことは山ほどある。嬉しいのと同じくらい怒りがこみあげる。戸惑いながらも素直に嬉しがるキオに水をさすようなことを言って怒らせてしまう。キオは船の中で父親のことを聞いて回っている。ビデオレターのアセムの映像をまた見せてもらっているらしい。窓の外を見る。海賊船はもう見えない。生きていたのだろう。早く帰ってこい。

アセムが攫われたキオを助けたいというのに声を荒げる。敵地に単身乗り込んで無事に済むかどうかわからないじゃないか。折角生きていたのにまた帰ってこなかったら。2人とも失うことになったら。だが今アセムしかキオを助けに行けないのは確かだ。あの要塞の時のように。いつもそうだ。お前は大切なものを守りたいと言うくせに自分はどれほど大切に思われているかわかってない。だが止めたくても止められない。ただ待つだけとはなんと辛いことだろう。まだちゃんと顔をあわせてもいないのに。

キオとアセムが戻る。いやキオがアセムを連れてきたと言ってもいい。赤ん坊の時に別れたというのにすっかり父と子として打ち解けたようで嬉しくなる。だが僕とは久しぶりに会うのに口論になる。海賊を続けるためにまた戻ると言う。帰って来るんじゃないのか?終戦まで帰らないつもりか?彼奴らと地球とどっちが大事なんだ。

3世代編
月基地の戦いにアセムも加わるという。心強いと思う自分がいる。地球改革の頃の僕の右腕を取り戻したみたいだ。前線を離れたところでアセムとまた赤い機体が戦っている。まだアセムが軍にいた頃のように。奴の目的は今はage3ではないらしい。アセムもここまで来た目的は奴か。主導者の計画の是非を当の敵に問うとは。彼奴らが聞くはずがないじゃないか。

アセムは僕と行動を共にするという。勝手にしろといいながら心は浮き立つ。だがまた彼奴らを気遣うアセムに苛立ち口論になる。元はといえばお前が帰らなかったからだという言葉を飲み込む。かわりにお前の言葉を奴は聞いたのかと問う。アセムはわからない、あいつともいつも口論だったからと言う。僕と一緒にするなとむかつく。だがわかる気もする。同じなのだろう。生きていて口論できることすら嬉しい。僕はアセムが生きていたことで全てを許しそうになってる。けれど帰らない人達のために絶対許してはいけないんだ。そんな風に自分を鼓舞してる。窓の鏡に僕の姿が映る。家族が欲しくてたまらなかった少年の姿だ。自分の手をじっと見る。骨張った老人の手だ。

僕は大切なものをなくしてからずっと子供のままだ。大切なものが増えては浮かれ失われては嘆く子供のままだ。家族に銃を向けるなんて。僕はどこで間違えたんだろう。いつの間に僕は守るべきものを忘れたんだろう。もういいんじゃないかとウルフさんの声が聞こえる。アセムもキオも大切な人を失っている。誰もが失わずに済む方法を考えようとしている。僕を止めようと身体をはる。いつの間に僕は追い越されてしまったんだろう。

僕は家族が欲しかった。守りたかった。でも守られているのは僕だったみたいだ。それがとても嬉しい。止まっていた僕の時計はやっと時を刻み始める。窓硝子には穏やかな老人の顔が映る。

END